肌の乾燥で悩んでいる場合、スキンケア化粧品選びでは「保湿効果の高いもの」を第一に考えますね。
化粧水や美容液などに配合される保湿成分はさまざまですが、そのなかでも「セラミド配合」のスキンケア化粧品を選ぶという人も多いのではないでしょうか?
実際、市販されているスキンケア化粧品には、保湿成分としてセラミドが配合されているものも多くあり、セラミドと文字を目にするたびに
「いろいろなスキンケア化粧品で利用されているから、肌の乾燥も改善してくれるかも!」
などと大きな期待を抱くことも多いですね。
乾燥肌の場合、季節に関係なくカサカサして皮膚がはがれた状態にとなっているため、肌荒れを起こしてかゆみなどの炎症を引き起こしやすくなります。
また、皮膚のはがれた部分から外部刺激が侵入することによって、さらに症状が悪化する可能性もあります。
肌の乾燥には、一刻も早い肌環境の改善が必要であり、そのため保湿力の高いスキンケア化粧品を使うことが大切です。
「高保湿」と書かれたスキンケア化粧品は多く販売されていますが、キメの整った美肌にするためには「セラミド配合」のスキンケア化粧品を選ぶ必要があります。
とはいうものの、セラミドに保湿効果があるということは知っていても、セラミド自体がどういう成分でどのような働きをするのか、肌に刺激にならないのか、などまではしっかりと理解していない人も多いのではないでしょうか?
この記事では、「セラミドとはどういう成分なのか」、「どんな種類があるのか」、「肌でどのような働きをするのか」などいついて、くわしくご説明しています。
この記事を読んでいただくことで
- セラミドとはいったい何なのか詳しく理解ができる
- セラミド配合商品の上手な選び方がわかる
- セラミドの効果的な使い方がわかる
こんなメリットがあるため、自分の肌に合ったスキンケア化粧品をえらぶことができます!
セラミドについてくわしく知ることによって、乾燥によって敏感になっている肌でも安心して使える商品を選ぶことができ、改善効果がはやく現れてくる可能性も期待できますよ。
そもそもセラミドとは?
そもそも「セラミド」とはどのような成分で、どのような働きをするのでしょうか?
セラミドの特性や役割について見ていきましょう。
セラミドとは:肌に元来セラミドは存在してる!
セラミドは、肌表面のすぐ下にある角層(角質層)にもともと存在している「細胞間脂質」の1つです。
角層内の細胞間脂質は、セラミドのほかに遊離脂肪酸(血液中に存在する脂肪酸の中で中性脂肪が分解されてできたもの)やコレステロールで構成されていますが、その細胞間脂質のなかで大半を占めているのが「セラミド」であり、その割合は約50%にもなります。
ちなみに、その他のコレステロールと遊離脂肪酸の割合は、どちらも25%程度です。
今からおよそ2億2千年前の中生代に、それまで海中でのみ生活していた生物が、陸上での生活をするため、肌の乾燥を防ぐ役割をしたのがこのセラミドだといわれています。
つまり、人類が誕生する前からセラミドは存在し、生物の進化や成長に大きく貢献していた大切な成分なのです。
肌に必要不可欠なセラミドは、肌の奥深くにある細胞内で作られて肌代謝によって角層まで押し上げられ、細胞のすき間を満たしていきます。
セラミドとはお肌でどんな働きをしているの?
セラミドが存在する角層は「角層細胞」や「NMF(天然保湿因子)」などによって構成されていますが、この角層細胞の働きだけでは、キメの整ったツヤ肌を作り出すことはできません。
肌の奥で作られたセラミドが、角層細胞の間に入り込みしっかりと満たすことによって、角層細胞同士をバランスよくつなぎ止め、そこに水分やNMF(天然保湿因子)などを蓄えることができます。
このセラミドの働きがあることによって、キメのある健康肌ができあがっていくのです。
そのほかにも、セラミドは角層細胞の間でクッションのような役割を果たしており、これによって柔らかい肌を作り出しているのです。
ところが、角層内のセラミド量が少なくなると、細胞同士をつなぎ止めることができなくなるため、水分をじゅうぶんに溜めることができずスカスカ状態となり、肌が乾燥してしまいます。
すると、乾燥ではがれた皮膚のすき間から紫外線や雑菌などが侵入し、角層内を簡単に通過して皮膚の奥を刺激します。
それが原因となって、かゆみ・シワ・たるみ・シミといった肌トラブルを起こしてしまうのです。
角層内部がセラミドでしっかりと満たされていると、水分がしっかりと角層内に保たれた状態になるので、こうした肌のトラブルが起きないのです。
セラミドで満たされた角層内は、何層にもなる角層細胞がピッタリと密着した状態になっており、角層全体が1つの厚みを増した壁のようになっています。
セラミドが不足したスカスカの角層は、1枚が薄いため簡単に外部刺激が通過できてしまうのですが、セラミドに満たされた角層は厚みがあり、また弾力もあるため外部刺激をはねのけることができるわけです。
肌を外部刺激から守る(バリア機能)
セラミドで角層内が満たされることで、角層が1枚の分厚い皮膚の壁となり、外部刺激の侵入や攻撃を防ぐことができ、さまざまな肌トラブルが起こることはありません。
それと同時に、角層内の水分をしっかりと保つことができるので、うるおいある美肌を手に入れることもできます。
このような、外部刺激の侵入や攻撃を防ぐ肌の働きを、「肌のバリア機能」と言います。
バリア機能が正しく働くためには、「肌表面の皮脂」と「セラミド」が必要不可です。
肌のバリア機能は、セラミドと皮脂のどちらが欠けてもダメで、どちらかが欠けてしまうとバリア機能があっという間にくずれてしまい、肌荒れ・ニキビ・かゆみなどの肌トラブルを招きます。
このように、肌のバリア機能は肌を健康に保つために必要不可欠であり、バリア機能にかかわるセラミドは、肌にとって必須成分なのです。
年齢によってセラミドとはどんどん減少していくもの…

セラミドは、人間の皮膚(角層)内にもともと存在している、必要不可欠な保湿成分です。
そのため、常に皮膚内では、一定量のセラミドが作られているように思ってしまいますね。
ところが、セラミドはさまざまな要因によって、その生成量に影響が出る場合があります。
たとえば、不規則な日常生活(睡眠不足・食生活のれなど)・季節・温度変化・環境変化など、さまざまな要因が関係していいます。
なかでも、「加齢」はセラミドを減少させる大きな原因の1つとなっています。
10代や20代前半の若い世代の肌は、キメが細かくもっちりとしていて、ハリや弾力もありますね。
しかし、高齢になってくると、しわやたるみが多くハリツヤもありません。
これは、角層内のセラミドが減少したためバリア機能が低下し、それによって肌表面が乾燥して硬い皮膚になってしまったことが原因です。
つまり、年齢が若くても肌の乾燥が日常的になると、シワやたるみが起こる可能性があるということです。
したがって、肌の乾燥を改善させるために、セラミド生成を促して角層内を満たしてあげることが必要です。
しかし、セラミド生成をさまたげる要因があると、必要量が一定に作り出されなくなるため、セラミド量が不足してしまいます。
では、皮膚内のセラミドが不足してしまうと、肌にはどのような悪影響が起こってくるのでしょうか?
セラミドが肌から不足してしまうとこんな悪影響が起きる…!
セラミドが不足するということは、「肌のバリア機能がくずれる」ということを意味しています。
セラミドが失われることによって、角層内の水分保持ができず乾燥を引き起こします。
乾燥した皮膚の表面は、角質がはがれてめくれ上がり、バリア機能も完全にくずれてしまった状態となっています。
肌のバリア機能がくずれてしまうと、そこから紫外線などの外部刺激が角層内に侵入し、スカスカな状態の角層を簡単に通過して、皮膚の奥にまで達します。
皮膚の内部には真皮という部分があり、そこには肌の弾力を作りだすコラーゲンという保湿成分が存在しています。
外部刺激は、そこコラーゲンを作り出す細胞を攻撃するため、コラーゲン分泌量も低下してしまいます。
これも、シワやたるみなどを作り出す原因となっているのです。
また、雑菌やウイルスなどの病原体も簡単に体内へ侵入できる状況になっており、原体が侵入してしまうと湿疹・腫れ・かゆみ・痛みなどといった、炎症を引き起こす可能性もあります。
とくに顔の場合、肌トラブルを引き起こすと、炎症が治まっても色素沈着が起こることも否定できません。
このように、セラミドが不足すると、皮膚の内部をガードする術がなくなるため、いろいろな悪影響を生んでしまうのです。
セラミドとはお肌には「必須」の成分!不足に気をつけよう!
肌のさまざまなトラブルは、肌の乾燥が進行して起こることが多く、その乾燥を引き起こすのが「肌バリア機能のくずれ」なのです。
肌にうるおいがあるときは、柔らかくしっとり・もっちりとしていて、かゆみなどを感じることはありませんまね。
乾燥肌でない人でも、冬の乾燥時期になると顔や手がカサカサして、ひび割れやあかぎれなどを起こすことがあります。
これは、肌表面の皮脂が取れたことでバリア機能が低下し、同時に角層内のセラミドが失われたことで起こっているのです。
このような状態になると、かゆみを解消させるために患部をさらに掻いてしまうこともあり、症状を悪化させることになってしまいます。
皮膚の表面は、常に外気や外部刺激に接しています。
目には見えませんが私たちは紫外線をいつも浴びており、この紫外線は乾燥・日焼け・シミ・そばかすなどの皮膚トラブルのほか、皮膚がんの原因にもなる有害物質です。
そんな有害物質を、私たちは毎日のように浴びているわけですが、乾燥がひどい時期以外では、日常生活の中で肌の乾燥が気になるということは少ないですね。
そ
れは、角層内にセラミドがじゅうぶん満たされている証拠であり、それによって肌のバリア機能が正常にはたらいている証なのです。
バリア機能が正しく働けば、皮膚内部の保湿成分が失われることがないため肌トラブルを起こす確率が減ります。
また、セラミドの力によって、紫外線などの外部刺激を肌表面で払いのけることができるため、炎症を起こすこともなくなります
このようなことから、「セラミドは肌にはなくてはならない必須成分」なのです!
お肌の構造について:セラミドって肌にどんなふうに存在してる?
私たちの肌というのは、
- 表皮
- 真皮
- 皮下組織
という3つの層から成り立っています。
表皮は、皮膚の外側にある部分で、肌表面のことを指します。
3つの層の中でもっとも薄いのが表皮で、その断面を拡大してみると4つの層から成り立っており、もっとも外側にある層が、セラミドが存在している「角層」という部分です。
角層の厚さは、たったの「0,02㎜程度」しかなく、そこに「角層細胞が14層~15層」に重なり、その間をセラミドなどの細胞間脂質が満たしているのです。
真皮は、たくさんの水分を溜め込んで弾力肌を作る役割があり、若々しさを保つためのハリを作り出すのがこの層です。
3つの皮膚層の中で真皮がもっとも厚く、その約70%をコラーゲンと呼ばれる保湿繊維が占めています。
その他に、スキンケア化粧品でも広く利用されているヒアルロン酸(ゼリー状の保湿成分)なども、この真皮内に存在しています。
皮下組織は、皮膚のなかでもっとも奥深くにある部分で、そのほとんどが脂肪から構成されています。
皮下脂肪という言葉を耳にしたことがあるかと思いますが、この皮下脂肪というのは、皮下組織にある脂肪のことをさしており、その厚みは人それぞれ違っています。
ちなみに、痩せている人は皮下組織が薄く、太っている人は厚みがあります。
皮下組織のなかには、新鮮な血液を送る動脈と、汚れた血液を送る静脈が通っており、その重要な血管を保護しながら、内臓への衝撃を最小限にとどめる吸収剤の役割も果たしているのです。
肌の構造については、別の記事にてさらに詳しくご紹介していきますね。
セラミドが配合された化粧水を使うとどんな効果があるの?
セラミド配合の化粧水を使うことによって、セラミドがわずか0,02㎜ほどの角層内に浸透していきます。
そして、角層内で14層以上にも重なる薄い角層細胞の間で、「細胞同士をつなぎ止める接着剤」のような役割を果たします。
セラミドが接着剤の役割を果たすことによって、角層を満たしている水分をセラミドがしっかりと溜め込み、水分蒸散を防ぐことができます。
これによって、「肌表面の乾燥を防ぐ効果」が得られるとともに、「肌のバリア機能のはたらきを正常に保つ」ことができるというメリットも得られます。
乾燥肌の人にこそセラミドは最適で効果的!
乾燥肌の人は、健康肌の人と比べて「皮膚内に存在するセラミド量が少ない」ことが分かっています。
したがって、乾燥肌の人がセラミド配合の化粧水を使うことは、皮膚内のセラミド量を増やすことができるため、肌の乾燥を効果的に改善させることができます。
このことから、セラミドは乾燥肌の人にピッタリの保湿成分なのです!
セラミドと「他の保湿成分」との違いや相性は?
高い保湿力をもつとされる成分は、セラミド以外にもいろいろな成分があります。
そのなかでも、「ヒアルロン酸」や「コラーゲン」は、セラミドとともに「三大高保湿成分」としても広く知られています。
うるおいが満ちる美肌を手に入れるためには、三大高保湿成分のどれかを補給してあげればOKというわけではありません。
なぜなら、ヒアルロン酸やコラーゲンも、セラミドと同様にそれぞれ特徴があるからです。
では、ヒアルロン酸・コラーゲンは、セラミドとどの点に違いがあるのでしょうか?
また、この2つの保湿成分は、セラミドとの相性はどうなのでしょうか?
ここからは、セラミドとヒアルロン酸・コラーゲンの違いについて見ていきましょう。
セラミドと「ヒアルロン酸」との効果の違い、相性について
ヒアルロン酸は、セラミドと同様もともと体内に存在している成分で、グリコサミノグリカンと呼ばれるムコ多糖(アミノ酸をふくむ動物性粘性物質)の一種です。
おもに、皮膚・軟骨・脳・関節液・目など、人間の重要な組織に含まれています。
ヒアルロン酸は粘り気のある液体で、重要な組織を保護するクッション的存在です。
とくに、皮膚層のなかでもっとも厚い真皮の部分に存在しており、真皮内の線維芽(せんいが)細胞の間を埋めるように満たしています。
ヒアルロン酸の粘性には高い保水力があることが分かっており、その保水量は「1gで6Lの水分をたくわえられる」とされています。
つまり、たった1gのヒアルロン酸のなかに、2Lのペットボトル3個分の水が溜め込めるということになります。
セラミドとヒアルロン酸との違いは、おもに4つあります。
セラミドとヒアルロン酸の違い1:脂質と多糖類の違い
セラミドは、スフィンゴシンと呼ばれる物質と脂肪酸が結合してできた「スフィンゴ脂質」の一種であるのに対し、ヒアルロン酸は、アミノ糖が鎖状に形成した「ムコ多糖」の一種です。
構造の違いについては難しいのであまり気にしなくてもOKです。
セラミドとヒアルロン酸の違い2:もともと存在する皮膚層の違い
セラミドは、肌表面のすぐ近くの「角層内の細胞間」に存在しているのに対し、ヒアルロン酸は角層の奥にある「真皮内の細胞間」に存在しています。
つまり、ヒアルロン酸の方がセラミドよりも一段階深い場所にあるという認識で問題ありません。
肌を指で押してみると、プニプニと弾力を感じられますね。
これは、真皮内のヒアルロン酸が、内側から皮膚を押し上げるように支えながら弾力を与えている証拠なのです。
セラミドとヒアルロン酸の違い3:肌への働きの違い
セラミドは、角層細胞の間を埋めるように存在して、水分やNMFをはさみ込みます。
この働きによって、角層内の水分の蒸散を防ぐことができうるおいが保たれるのです。
また、肌のバリア機能のはたらきを正常にするという大切な役目も担っており、保湿力はセラミドのほうが高いです。
これによって、キメの整った健康肌が維持できるわけです。
ヒアルロン酸は、真皮内で線維芽細胞の間を埋めるように存在し、ヒアルロン酸自体がたくさんの水分を溜め込みます。
これによって、ふっくらとした弾力のある肌を作ることができます。
肌で担っている役割がそもそも大きく違うので、お肌にとってはセラミドもヒアルロン酸もどちらも両方必要ということですね!
セラミドとヒアルロン酸の違い4:分子の大きさの違い
セラミドとヒアルロン酸は分子の大きさにおいても違いがあり、ヒアルロン酸のほうがセラミドよりも大きいです。
その大きさは、セラミドを1とした場合、低分子(分子の大きい)ヒアルロン酸は、その80倍にもなります。
セラミドとヒアルロン酸には、このような違いがあります。
ヒアルロン酸とセラミド相性ですが、この2つの成分の相性はバツグンです!
吸着力の高いヒアルロン酸入り化粧水を使うことによって、粘り気のあるヒアルロン酸が荒れた肌の表面をおおうようにコーティングし、肌のバリア機能のくずれを改善させます。
また、最近では分子の大きいヒアルロン酸をナノ化し、もともと存在している真皮内にまで浸透させることができるスキンケア化粧品も登場しており、こうした商品を使うことによって、真皮内のヒアルロン酸量を増加させて弾力を回復させることができ、シワのない肌へと導きます。
さらに、セラミドの減少も抑えられることから、キメの細かい肌を手に入れることができます。
なので、セラミド配合の化粧品を使うときにはヒアルロン酸も配合されているとさらにお肌の保湿効果を高めることができますよ!
セラミドと「コラーゲン」との効果の違い、相性について
コラーゲンも、セラミド・ヒアルロン酸と同様に、もともと体内に存在している成分で、「タンパク質の一種」からできています。
おもに、皮膚・骨・軟骨・じん帯などに存在しており、「人間の体内に存在しているタンパク質の約30%」をこのコラーゲンが占めています。
セラミドとコラーゲンには大きな違いが4つほどあります。
セラミドとコラーゲンの違い1:脂質とタンパク質の違い
セラミドが脂質の1つなのに対し、コラーゲンは弾性のあるタンパク質の一種からできています。
こちらも構造の違いについては難しいので使用する際にはあまり気にしなくてもOKです。
セラミドとコラーゲンの違い2:存在する皮膚層の違い
セラミドは角層内で細胞のすき間に存在しているのに対し、コラーゲンはヒアルロン酸と同じ真皮内に存在しています。
真皮層が乾燥によってスカスカにならないよう、弾性のある線維物質のコラーゲンが土台となって真皮全体を支えています。
つまり、コラーゲンはセラミドよりも一段階深い場所にヒアルロン酸と一緒に存在しているということができます。
ヒアルロン酸が真皮の土台で、コラーゲンが土台の間を埋めている物質というイメージですね。
セラミドとコラーゲンの違い3:形状の違い
真皮内では、コラーゲンの分子1つ1つがずれながら集まって線のような形状(線維)となり、さらに集まって網目状の柱を形成しています。
これによって、真皮の厚みを維持することできるほか、その網目にヒアルロン酸を取り入れられるため、たくさんの水分をたくわえることが可能となります。
この働きによって、肌を内側から押し上げてハリを与え、たるみのない若々しい肌を作ることができるのです。
セラミドとコラーゲンの違い4:保湿力の高さの違い
コラーゲンは、網目のなかに水分を取り入れることで保湿力を高めることができますが、その保湿力の高さはヒアルロン酸と同じくらいです。
セラミドは、肌の表面に近い角層内に存在して、肌内部の水分蒸散を防ぐ働きをしています。
さらに、セラミド自体も水分を溜め込むことができるほか、脂質の一種であるため水分を包み込んで逃しません。
長く水分を保持できるため、セラミドはコラーゲンよりも保湿力が高いのです。
セラミドとコラーゲンの相性はというと、ヒアルロン酸の次にいいです!
コラーゲンは網目状になっているため分子が大きく、そのままでは真皮層まで到達することができません。
ですが、分子の大きいコラーゲンを肌に与えてあげると、肌表面の水分を溜め込んで保湿効果を高めることができるのです。
これによって、乾燥によるセラミドの減少を防ぐことができ、セラミドの働き(バリア機能のはたらきを正常にする)をサポートする効果が得られます。
また、ナノ化したコラーゲン配合の化粧品を使うと、もともと体内に存在している真皮にまで浸透させることができ、減少しがちなコラーゲンを効果的に増やすことが可能となり、ヒアルロン酸同様に角層内のセラミド量の減少を防ぐことができます。
コラーゲンの肌での働きや効果についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事へ
セラミドには実はたくさんの種類がある!
セラミドは大きく分けると「天然セラミド」と「合成セラミド」に分けれられるのですが、それぞれお肌への働きが違ってきます。
まとめるとこんな感じになります。
- 動物セラミド
- 植物セラミド
- ミルクセラミド
- 天然ヒト型セラミド(ジェヌイン特許)
- ヒト型セラミド(合成セラミド)
- →セラミドEOP(セラミド1)
- →セラミドNS・セラミドNG(セラミド2)
- →セラミドNP(セラミド3)
- →セラミドAP(セラミド6Ⅱ)
- →セラミド7
この中で一番オススメなのは「天然ヒト型セラミド」なのですが、天然ヒト型セラミドが配合された商品というのは価格が高いのが特徴です。
なので、コストパフォーマンスを考えると、ヒト型セラミド(合成セラミド)が手を伸ばしやすく、効果も期待できるでしょう。
セラミドの種類について詳しく知りたい方はセラミドの種類の記事を読んでみてくださいね。
セラミドを補給するならどんな食べ物を選べばいい?
セラミドは、スキンケア化粧品だけではなく食べ物からも補給することが可能です。
これまでご紹介してきたセラミドのなかにも、食べ物が原料となっているものが多かったですね。
このことからも、セラミドを含む食品は多く存在します。
では、毎日の食事からセラミドを補給する場合、いったいどのような食べ物を摂るといいのでしょうか?
セラミドを多く含む食べ物としては、「コンニャク芋」・「大豆」・「じゃがいもの皮」・「米ぬか(米)」・「小麦」・「牛乳」などがあり、これらは天然セラミドに分類される「植物セラミド」や「ミルクセラミド」の原料としても利用されているものばかりです。
このなかで、とくにセラミドの含有量が多いとされるのが「コンニャク芋」で、生芋コンニャクならば100gあたり約0.76㎎も含まれています。
これは、米や小麦のセラミド含有量の7倍~15倍にも及びます。
また、じゃがいもの皮にも100gあたり約0.67㎎と、生芋コンニャクに引けを取らない量のセラミドが含まれています。
1日に必要なセラミドの摂取量は「約0.6㎎~1.8㎎」といわれています。
つまり、生芋コンニャクならば100g~200g程度、じゃがいもならば1個~2個程度を食べることで、1日に必要なセラミドを補給できるわけです。
ただし、生芋コンニャクは簡単に手に入らない可能性があるため、手軽に摂り入れられるじゃがいも(皮ごと)がオススメです。
そのほかにも、茶色・黒色の食べ物には、セラミドが比較的多く含まれるといわれています。
たとえば、「黒豆」・「ひじき」・「そば」・「小豆」・「ごぼう」・「コーヒー」など、さまざまな食品に含まれています。
このように、私たちの身近にある食べ物からも、セラミドを増やせるということが分かりましたね。
ですが、そのなかには食品に含まれる「セラミドを減少させてしまう食べ物もある」のです。
たとえば、必須脂肪酸でもあるリノール酸を含む「コーン油」・「ひまわり油」・「ベニバナ油」・「マーガリン」・「揚げ物類」・「油を使用したインスタント食品」などです。
これらに含まれるリノール酸は、適量を守って摂取することで血中コレステロール値を下げるほか、自らがセラミド合成の原料となってサポートするため必要量は摂取したい成分です。
しかし、大量に摂取すると活性酸素を大量に作り出してしまい、セラミド合成を阻害させてしまいます。
さらに、油なので体内で蓄積されると、動脈硬化などの生活習慣を引き起こす危険性も高まります。
そのため、とくにマーガリン・揚げ物類・インスタント食品などから、セラミドを補給するのは避けなければなりません。
食品からのセラミドを摂取するときのポイントとは?
食べ物からセラミドを補給する場合、「皮膚へと効率よくセラミドを届けてあげる」ことがポイントとなります。
そのためには、「セラミドの合成を促進してくれる食べ物を一緒に摂る」ことが大切です。
たとえば、「里芋」・「じゃがいも」・「玉ネギ」・「キャベツ」・「白菜」などの白い野菜には、滞りがちな血流を改善させて血行を良くする効果があります。
これによって、セラミドが分解されてフィンゴシンという成分になって皮膚へと届けられる際、血流がいいと早く角層へ届けることができます。
また、「ほうれん草」・「ニンジン」・「ピーマン」・「トマト」などの色の濃い野菜には、抗酸化作用があり細胞を活性化させる効果があります。
活性酸素は、セラミドの合成をさまたげるやっかいな物質です。
食品から効率よくセラミドを摂り入れるためには、活性酸素の働きを抑える「緑黄色野菜」も一緒に摂取するようにしましょう。
さらに、肌の新陳代謝を促進させる「ビタミンB群」、保湿作用・抗酸化作用をもつ「ビタミンC」などを多く含む食品もオススメです。
たとえば、「豚肉(赤身)」にはビタミンB1をはじめとするビタミンB群が豊富であるほか、「オレンジなどの柑橘類」にはビタミンCが豊富です。
食べ物に含まれるセラミドを効率よく摂取するには、こうした食べ物と一緒に摂取するようにしましょう。
また、調理の方法も工夫する必要があります。
たとえば、セラミドを多く含むじゃがいもを使って調理をする場合、ゆでてしまうとセラミドを含む栄養成分が水に溶けだしてしまい、じゅうぶんな量を摂取できない可能性があります。
そのため、じゃがいもに火を通したいときには、油で下揚げをするといいでしょう。
調理に使用する油は、サラダ油などではなくオリーブオイルにするとより効果的です。
セラミドに効果ないと感じるケースには「こんなNG」が隠れていた!
セラミドは、化粧品・飲料・サプリなど、さまざまカタチで体内へと補給することができますが、巷では「セラミドは皮膚に塗ったり、飲み物などから摂取しても効果がない」と一部でいわれています。
実際に、セラミド配合の化粧品を使った人のなかには、
「肌の乾燥が改善されなかった」
「飲むセラミドを試したけれど、全く効果が出なかった」
などという口コミを目にします。
しかし、「効果が出ない」という声があるなかで、「効果が出た」という声も多く寄せられており、セラミドを塗ったり飲んだりする方法は、かならずしも効果が出ないとは言い切きれないです。
効果が実感できなかった人と、効果が実感できた人の口コミなどを見比べてみると、効果が実感できなかった人には、セラミドの正しい摂取方法や継続期間、選び方などにおいて、効果が得られた人とは異なっているケースが多いです。
効果がないという口コミの共通点としては、「セラミドの使用を継続的に行わなかった」・「短期間しか使わなかった」・「必要な摂取量を摂っていなかった」などがあります。
セラミドは、ヒアルロン酸やコラーゲンなどよりも1日の摂取量が少ないので、正しい方法で摂取していれば、効果が出るは比較的はやいです。
ところが、一週間に数日しか摂取しなかったり必要量が摂取できていないと、効果の現れに時間がかかってしまいます。
とくに、セラミドを摂取する前に「○○日で効果が出た」などという口コミを見ていた場合、「自分も、このくらい使えば効果が出るだろう」と決めつけてしまっているケースがあり、目安の時期まで使って効果が実感できないと「効果が出なかった」と勝手に結論付けてしまう傾向にあります。
また、セラミド配合のスキンケア化粧品などで効果が感じられなかった人は、使っていた化粧品(または配合されているセラミド)に問題があったりもします。
セラミドは、種類・タイプによって肌への浸透力や親和性、働き方に違いがありましたね。
たとえば、分子が大きく浸透力が低いセラミドが配合されたスキンケア化粧品では、肌内部に浸透しにくいため、期待していたほどの効果を得られない可能性があります。
また、人の肌質にも違いがあり、肌の乾燥が比較的軽度の人は重度の乾燥肌の人よりも肌の改善期間が短いため、早く効果を実感できる傾向にあります。
このように、その人のセラミドの選び方・摂取方法・使用期間・肌質などによって、効果の現れるタイミングは変わってきます。
大手製粉会社の日本製粉株式会社では、「植物由来セラミドと肌の保湿・バリア機能改善効果に関する研究」を実施し、その結果を公表しています
それによると、効果の高いセラミド(独自開発セラミド「ニップンセラミド」)を継続して経口摂取した結果、早い人で1週間ころから徐々に角層内部の水分量がアップしたという結果も出ています。
また、セラミドを1.2㎎摂取したほうが、0.6㎎摂取した時よりも、肌のバリア機能の回復効果が大幅にアップしたという結果も出ています。
このように、浸透力・親和性の高いヒト型セラミドを配合したスキンケア化粧品や、保湿効果とバリア機能改善効果が高い天然セラミドを継続して塗布・経口摂取することによって、効果は徐々に現れてくると言えます。
「セラミドはお肌に直接塗っても効果がない!」は間違い!
セラミドに関するあるサイトでは、
「セラミドを肌に直接塗っても効果がない!と薬を扱う友人に言われたが、それは本当なのか?」
という内容の質問が寄せられていました。
素人からすると、薬や有効成分などにくわしい人間に言われれば「そうなのかな?」と思ってしまいますね。
きっと、その友人はセラミドのことをよく知ってはいるけれど、肌に浸透させる方法までは知らなかったのかもしれません。
というのも、セラミドの主成分は「脂質」であるため、水分の多い皮膚に油分からなるセラミドをそのまま塗っても、皮膚の内部には浸透していかないのです。
友人はそのことを知っていたため、「セラミドを直接塗っても効果が出ない」といったのだと考えられます。
しかし、セラミドの特性をきちんと理解することによって、肌に直接塗っても効果を得ることが可能です!
そのヒントは、化粧品に配合されている成分に隠されています。
ここからは、セラミドがどのように肌に浸透し効果を発揮するのかを、化粧品の成分とともに見ていきましょう。
化粧品に配合されている界面活性剤の働きについて
セラミドを塗る方法としてもっとも手軽なのが、セラミド配合のスキンケア化粧品を使うことですね。
素肌に使う化粧水・乳液・美容液・クリームなどのなかには、「界面活性剤」が含まれているものがあります。
界面活性剤というと、洗顔料やボディソープなどの洗浄剤に含まれているイメージが強いですね。
これら洗浄剤に含まれている界面活性剤は「洗う」ことを主な目的にしており、毛穴につまった皮脂やメイク汚れなどを効果的に落としてくれます。
一方、スキンケア化粧品などに含まれている界面活性剤は、洗浄ではなく「乳化」させることを目的としています。
乳化とは、本来ならば混ざり合うことのない油分と水分を、なじませて混ざるようにすることです。
肌(角層)には、「体全体の約30%」にあたる水分が含まれているといわれています。
セラミド自体は、ヒアルロン酸やコラーゲンよりも分子が小さいので、もともと存在している角層内に浸透することも可能ですが、脂質(油分)からなるセラミドはそのままでは皮膚内になじんでいかないのです。
そこで、化粧品の原料に乳化目的の界面活性剤を配合することで、水分からなる皮膚にもスムーズになじんでいき、角層への浸透率がアップします。
これにより、セラミド本来の働きが行えるようになるため、効果を実感できるという
わけです。
セラミドは肌のラメラ構造を作る働きを担っている
セラミドが存在している角層内の細胞と細胞の間は、セラミドなどの油分とNMF(天然保湿因子)などの水分が、ミルフィーユのようにキレイに重なり合って存在しています。
この油分と水分がミルフィーユ状に重なり合っている状態を「ラメラ構造」といい、セラミドはこのラメラ構造を作り出す働きがあります。
角層はたった0.02㎜しかない部分ですが、この部分がバリア機能の心臓部でもあり、皮膚の保護機能の約8割を担っています。
そのため、セラミドを補給することによって、ラメラ構造が整い肌のバリア機能が改善されるわけです。
また、水分がセラミドの油分の間に溜め込まれるため、保湿効果が長期にわたり持続し、肌の表面に弾力も生まれるのです。
セラミド配合の化粧品は、界面活性剤の力を借りて皮膚の表面となじみながら角層へと浸透し、壊れかけたラメラ構造を整えて肌のバリア機能を回復させ、キメの整った美肌に導くという目的をもっているのです。
セラミドは脂溶性の成分だと知っておこう!
セラミドの主成分は脂質であり、また脂溶性の物質でもあります。
そのため、油分には溶けやすいですが水分には溶けにくい性質をもっています。
また、ほかの脂溶性物質とも特徴が異なり、油分ならば何でも相性がいいわけでもありません。
もっともセラミドと相性がいいのは化粧品でいう「クリームタイプ」の油分です。
なぜなら、無理やり水ベースの基剤にセラミドを入れても、水分のなかではセラミドが安定しないため、高濃度を配合することが不可能なのです。
一方、クリームタイプの基剤ならば、同じ油分であるためなじみやすく、そのなかでも安定しているので高濃度を配合することが可能となります。
ですが、スキンケア化粧品の成分を見てみると、セラミドは決してクリームタイプだけにしか配合されているわけではなく、ゲルや美容液など水溶性の化粧品にも含まれています。
これはなぜかというと、脂溶性成分の性質をうまく利用して肌への浸透力を高めているからです。
東大病院の医師によると、セラミドと同じ脂溶性の成分である「レチノイド」という成分を、オイル・クリーム・ワセリンなどの油分の基剤に配合した場合、「レチノイドの安定性は高いが、皮膚への浸透力は極めて低下する」という特徴があるとしています。
また、比較するため水溶性のゲル基剤に配合したところ、脂溶性のクリームと水溶性のゲルでは、ゲルのほうが数倍も浸透力がアップしました。
また、脂溶性のワセリンとの比較では、ゲルのほうが実に10倍も浸透力がアップしたと公表しています。
これは、セラミドを安定した油分ベースの基剤に入れてしまうと、そこの居心地のよさから皮膚へ浸透しにくくなってしまい、逆に不安定な水分ベースの基剤に入れること、セラミドが早くそこから脱出しようとして、皮膚内部へと浸透していくと考えられているからです。
つまり、脂溶性の美容成分を肌に浸透させるには、「不安定な水溶性ベース基剤に配合するほうが効果的」ということになります。
このことはセラミドにも言えることで、脂溶性であるセラミド配合のスキンケア化粧品には、水溶性のゲルタイプなどが多いのもその理由からです。
セラミド配合の化粧水の使い方とは?

ここまで、セラミドについて詳しく説明してきましたが、ここでセラミドの効果をじゅうぶんに発揮させ、効果的に肌のバリア機能を高める化粧水の使い方をご紹介していきますね。
洗顔後に行う化粧水はとても重要であり、1分でも1秒でもはやく肌に付ける必要があります。
それによって、肌の水分蒸散を最小限に抑えられ、バリア機能の低下を防ぐことができます。
そのため、化粧水は脱衣所に置いておくようにしましょう。
【セラミド配合化粧水の使い方】
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①手のひらに、化粧水を適量取りましょう。
商品にもよりますが、目安は10円玉大です。
化粧水はコットンを使って付けるという人もいますが、コットンでは肌をこすってしまう可能性があり、肌にはよくありません。
そのため、かならず手のひらで化粧水を伸ばすようにしましょう。
手の温かさによって化粧水が温められ、浸透率がよくなる効果も得られます。 -
②手のひらで化粧水が温まったところで、肌全体に付けて伸ばします。
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③まずは、頬からなじませていきます。
決してこすらず、両手で包み込むようにやさしくなじませます。
ポイントは、両方の手のひらを頬にやさしく押し当て、密着させるようにします。
数秒間かけてゆっくりとなじませていきましょう。 -
④次に、目頭から鼻先・口元をなじませます。
ポイントは、人差し指・中指・薬指の3本の指先を使い、ポンポンポンとやさしくあてるようになじませていきます。
数秒間かけてゆっくりなじませましょう。 -
最後に、おでこ・こめかみ・口元を、④と同様に行います。
もし、乾燥が気になるようでしたら、さらに重ね付け(3回程度まで)してもいいでしょう。
ベストな仕上がりとしては、頬に手のひらをあてた際にピッタリと吸いつく状態です。
この状態をめざして化粧水を肌になじませていきましょう!
お肌にもともとあるセラミドの保湿力を壊さないために…
美肌を保つために必要なセラミドは、年齢とともに減少していく成分であり、また日ごろの生活習慣にも大きく左右されます。
たとえば、睡眠不足になると新陳代謝が低下するため、肌細胞はたらきも低下してしまい、セラミドの生成にも影響がでてきます。
また、栄養バランスの悪い食事を続けていることも、セラミド生成に必要となる栄養成分が不足するため減少につながります。
洗顔においても、過度の洗顔やゴシゴシ洗いなどを行っていると、バリア機能が崩れて角層内のセラミドが減少しています。
そのため、セラミド配合のスキンケア化粧品を使うだけではなく、このような点に気をつけ、角層内のセラミド量を減少させない努力もしていくことが大切です。
肌のセラミドの保湿力を保つ方法1:洗顔時に気を付けたいこと
肌はとてもデリケートであり、強くこすることですぐにバリア機能が崩れてしまい、セラミドが減少して乾燥を引き起こします。
そのため、洗顔の際には以下のことに気を付けましょう。
洗顔時の注意①ゴシゴシ洗いをしない
顔をこするようにして洗うと、肌表面のバリア機能が壊れてしまいます。
すると、そこから角層内のセラミドはNMF(天然保湿因子)が流れ出てしまい、乾燥を引き起こします。
洗顔時の注意②洗顔料を泡立てて、キメの細かいじゅうぶんな泡でやさしく洗う
洗顔では、洗顔料をしっかりと泡立てて使うことが大切であり、洗う際には泡の弾力を使ってやさしく洗いあげます。
洗顔時の注意③必要以上に洗顔はしない
1回の洗顔で何度も洗顔料をつけて洗うと、必要以上に皮脂を落としてしまい、バリア機能のくずれにつながります。
洗顔時の注意④ぬるま湯で洗う
熱いお湯(40℃以上)で洗ってしまいがちですが、これも皮脂を必要以上に取り去ってしまう原因になります。
そのため、人肌程度(34℃~38℃)のぬるま湯で洗うようにしましょう。
洗顔時の注意⑤タオルでこすらない
タオルの使い方も大切で、こするようにして水分をふき取ると肌を傷つけてしまったり、バリア機能を崩す原因につながります。
そのため、タオルは肌にやさしく当てるようにして水分をふき取りましょう。
洗顔時の注意⑥洗顔後すぐに化粧水をつける
洗顔後は、皮膚内の水分がどんどんと失われている状態ですので、すぐにセラミド配合の化粧水で保湿してあげましょう。
肌のセラミドの保湿力を保つ方法2:体を洗うときに気を付けたいこと
体を洗うときも、洗顔のときと基本的に一緒です。
身体を洗う時の注意①キメの細かい泡を作ってやさしく洗う
泡立てネットやスポンジなどを使ってキメの細かい泡を作り、手や柔らかい素材のタオルでやさしく洗います。
シャワータオルなどでゴシゴシ洗うのは避けましょう。
身体を洗う時の注意②熱いお湯は使わない
顔と同様に、体の表面も皮脂がバリアを作っています。
そのバリアを崩さないためにも、熱すぎるお湯を使うのは避けましょう。
身体を洗う時の注意③タオルでこすらない
体の水分を取るときにも、タオルをやさしく押しあてるようにしてふき取ります。
こすってしまうと、せっかく洗顔で残した皮脂も取り去ってしまうのでやめましょう。
身体を洗う時の注意④お風呂上りにはボディケア製品で保湿を!
お風呂上りは、体の水分がどんどんと失われている状態です。
そのため、ボディケア製品を使って皮膚の水分蒸散を防ぎ、うるおい肌を持続させましょう。
肌のセラミドの保湿力を保つ方法3:睡眠にも気を配ろう
睡眠不足も、セラミドの減少と大きく関係しています。
質の高い睡眠がじゅうぶんにとれないと、体の各組織が1日働いた分の疲れをとることができず、疲れがたまってしまいます。
内臓がしっかり休息をとれていないと、栄養分の吸収率が下がり皮膚にもじゅうぶんな栄養が届かず、セラミド生成にも影響が出てしまいます。
そのため、体の疲れを次の日に持ち越さないよう、質の良い睡眠にも気を配るようにしましょう。
セラミドとアトピー性皮膚炎の関係について
アトピー性皮膚炎には、セラミドが大きく関係しているのとご存知でしょうか?
乾燥がひどくなることで皮膚がめくれ上がり、肌のバリア機能が破壊され角層内の水分がほとんど失われてしまいます。
同時に、セラミドも失われてしまうため、バリア機能を回復させることが困難となります。
すると、めくれ上がった皮膚の間から、紫外線や雑菌などの外部刺激が皮膚のなかへと侵入して刺激を与えます。
これによりかゆみが生まれ、それを和らげるために、掻きむしる→出血・痛み→症状悪化という、アトピーの悪循環が生まれるのです。
健康な肌の人はセラミドがバリア機能を正常にたもっているため、皮膚がめくれ上がって紫外線などが侵入することもないので、かゆみなども起こることがありません。
実際、アトピー性皮膚炎の人と健康肌の人のセラミド量を比べたところ、アトピー性皮膚炎の人のほうが、健康肌の人よりも「皮膚内のセラミド量が少ない」ことが立証されています。
このことからも、アトピー性皮膚炎の改善には「セラミドの補給」がとても重要なのです。
まとめ
セラミドは、ヒアルロン酸やコラーゲンなどと同じ保湿成分として理解されている人が多いですが、セラミドをくわしく学んでみると、「うるおいのある健康肌を作るために必要不可欠な成分」だということが分かります。
また、セラミドとひとくくりにされる傾向にありますが、実際にはさまざまな種類があり、どのセラミドを選ぶかによっても、肌への効果の現れ方に違いがあります。
肌の乾燥に悩む人は、単に「高保湿成分配合」などという言葉で決めるのではなく、肌のバリア機能を回復させてくれる「天然ヒト型セラミド」または「ヒト型セラミド」が豊富に含まれるスキンケア化粧品を選ぶことをオススメします。