セラミド配合の商品を選ぶときに、どんなセラミドを選ぶかってとても大事なポイントですよね。

天然セラミドなのか、それとも合成セラミドなのかによってもセラミドの効果は変わってきますし、セラミドが配合されている商品が化粧水なのか美容液なのかでもチェックしたいポイントというのは変わってきます。

正直、たくさんありすぎてどうやって選べばいいのかわからないのではないでしょうか?

そこで、この記事ではセラミドを選ぶときに迷ってしまわないように、それぞれのセラミドの特徴やメリットを具体的にまとめてみました。

この記事を読んでいただくことで

  • セラミドにはどんな種類があるのかがわかる
  • セラミドが配合されている化粧品の種類ごとに違いがわかる
  • 自分の肌質にぴったりあったセラミド配合商品の選び方がわかる

こんなメリットがありますので、ぜひセラミドについて知識を深めて肌を綺麗にしたい方は読み進めてみてくださいね。

セラミドの種類は「天然」か「合成」かに分けられる!

「セラミド」とひと口に言っても、実はさまざまな種類があるのをご存知でしょうか?

セラミドは、「天然セラミド」と「合成セラミド」という2種類に分類でき、そこからさらに細かく分類することができます。

では、ここからは「天然セラミド」と「合成セラミド」それぞれの種類や特徴、メリット・デメリットなどを、くわしくご紹介していきますね。

天然セラミドの種類とその見分け方とは?

「天然セラミド」とは、動物や植物などの天然の素材から抽出したセラミドのことで、おもに

  • 動物セラミド
  • 植物セラミド
  • ミルクセラミド
  • 天然ヒト型セラミド(ジェヌイン特許)

の4つの種類があります。

天然セラミドの種類1.動物セラミド

「動物セラミド」は、おもに馬の脳や脊髄に含まれるセラミドを抽出したもので、天然製品のなかの代表的存在です。

なぜ、馬だけなのか?というと、以前には牛の脳や脊髄に含まれるセラミドも利用されていましたが、2000年代初頭に発生したBSE(狂牛病)の問題があり、現在は馬から抽出したセラミドだけを使用しているのです。

動物セラミドのメリットは、いくつかあります。

動物由来のセラミドであるため、私たちの角層に存在するセラミドと似たような性質をもっています。

そのため、皮膚に取り入れても刺激が起きることが少なく、スムーズに皮膚のなかへと浸透して馴染んでいくので、角層内のセラミド量を増やすことができます。

これによって、「高い保湿効果」が得られるとともに、「肌のバリア機能の低下を防ぐ効果」も得られます。

肌のバリア機能が正常に働くことで、乾燥しらずの健康肌を保つことができます。

動物セラミドは、メリットだけではなくデメリットもあります。

それは、「価格が割高」であるということです。

とくに、動物セラミドの原料は馬が主流であり、牛や豚など他の動物のセラミドは使われていません。

したがって、圧倒的に原料が少ないわけです。

さらに、抽出したセラミドが化粧品に加工した際にその効果を発揮するかという検証を行う必要もあり、それには1つの化粧品に配合するセラミド量も、ある程度な量が必要となります。

こうした理由から、他の種類よりも割高になってしまうのです。

また、人間がもつセラミドに近い性質をもっているとしても、全ての肌質と相性がいいというわけではありません。

とくに、敏感肌や乾燥肌の場合、動物セラミドによっては肌に刺激を与える可能性も否定できません。

動物セラミドは、セラミドをどの部位から抽出したかによって、スキンケア化粧品の成分表示名が異なってきます。

そこで、代表的な動物セラミドの成分表示名をご紹介しますね。

「ビオセラミド」は、動物(主体は馬)の脳やせき髄から抽出したセラミドをさします。

ビオセラミドを配合した化粧品には、「Arouge(アルージェ)」のシリーズ(化粧水・乳液・クリームなど)に配合されています。

「ウマスフィンゴ脂質」は、馬の脊髄・首・お腹の動物性脂質から抽出したもので、「馬油」という名前で広く知られています。

ウマスフィンゴ脂質の主成分は「ガラクトシルセラミド」と呼ばれるもので、セラミドの基本的な構造に「ガラクトース」と呼ばれる糖質が付いた形をしています。

このウマスフィンゴ脂質をさら精製すると、「糖セラミド(セレブロシド)」と呼ばれるセラミドに変化することから、ウマスフィンゴ脂質は「セラミドの前身」だといえます。

ウマスフィンゴ脂質を配合した化粧品には、MTメタロトン化粧品の「MTエッセンス・エマルジョン」などがあります。

「セレブロシド」は、精製したウマスフィンゴ脂質から抽出されるセラミドで、セラミドの基本的な構造に、「グルコース」または「ガラクトース」のどちらかの糖が合体した構造をしていることから、「糖セラミド」などとも呼ばれています。

セレブロシドは、もともと馬(動物)の神経・筋肉・細胞膜などで、重要な働きをしています。

構造は人間のセラミドと類似しているため、肌に浸透させることで同様の働きをすると考えられています。

セレブロシドを配合した化粧品には、北海道純馬油本舗の化粧水「ナチュラルセラミドローション」などがあります。

「ウマスフィンゴ糖脂質」は、ウマスフィンゴ脂質95%に糖脂質5%が合体した構造となっています。

「ガラクトシルセラミド」は、馬のせき髄からできたセレブロシドに、糖質の一種(ガラクトース)が合体したセラミドです。

動物由来の「グルコシルセラミド」は、馬のせき髄からできたセレブロシドに、ブドウ糖(グルコース)が合体したセラミドです。

天然セラミドの種類2.植物セラミド

「植物セラミド」は、作物から抽出したセラミドのことです。

セラミドは、動物だけではなく私たちが食している作物などにも含まれていることから、植物セラミドも数多くあります。

おもに、お米・米ぬか・大豆・とうもろこしなどから抽出されることが多いほか、ゆず・こんにゃく・小麦の胚芽油などから抽出されたセラミドもあります。

作物などから抽出したセラミドには、植物性にしかないメリットもあります。

たとえば、植物由来であるほか、原料として利用されているものは食用としても利用されている作物が多いため、肌への刺激が非常に少なく、動物セラミドだと肌質に合わなくて使うことができない敏感肌の人にも安心です。

動物セラミドのように利用できる原料が限定されていないため、必要量を調達しやすく、価格も動物セラミドより安価なものが多いです。

また、刺激が少ないのに、肌への浸透性は動物セラミドと同等レベルに近い点においても、このセラミドの大きなメリットであり魅力とも言えます。

ただし、植物セラミドにもデメリットは存在します。

低刺激で安全性が高いため敏感肌の人にもオススメなのですが、肝心な保湿効果において、動物セラミドよりも劣るという点があげられます。

これは、人間のセラミドと植物セラミドの構造において、微妙な違いがあるからです。

そのため、浸透しても角層内でなじむまでに時間がかかってしまい、他のセラミドと比べても効果が低下してしまうのです。

植物セラミドも、原料によって化粧品に配合されている表示名が異なります。

そこで、植物セラミドの代表的な成分表示名をご紹介しますね。

コメヌカフィンゴ糖脂質(米セラミド)」は、米ぬかから抽出し生成してできたセラミドで、セラミド95%・糖脂質5%から成り立っています。

化粧品によっては、「米由来セラミド」・「米ぬか由来セラミド」などと表示されているものもあります。

コメフィンゴ糖脂質を配合した化粧品には、リアル化粧品の化粧水「Ceramide Water」などがあります。

植物由来の「グルコシルセラミド」は、米・こんにゃく・大豆・小麦など、私たちが普段食べている作物から抽出したセラミドと、グルコース(ブドウ糖)が合体してできた「水溶性セラミド」です。

グルコシルセラミドを配合した化粧品には、小林製薬「hifmid(ヒフミド)」のエッセンスローション・クリームなどがあります。

「加水分解コンニャク根」は、植物由来のなかでもっともセラミド含有量が多いとされる「コンニャク芋」を原料としており、自然派化粧品メーカーの特許セラミドでもあります。

そのセラミド含有割合は、米や麦の7倍~15倍にもなります。

肌への吸収率を高めるため、水に分解されやすいように加工されています。

コンニャク芋を素手で扱うと、かゆみやかぶれを起こすことがありますね。

そのため、コンニャク由来のセラミドも肌に刺激を与えるような気がしますが、セライド自体は動物セラミドよりも低刺激で、敏感肌の人も安心して使えるレベルです。

加水分解コンニャク根を配合した化粧品は、このセラミドの特許を取得した「Moonyu(モーニュ)」の商品(化粧水・乳液・クリームなど)などがあります。

「トウモロコシ胚芽抽出物」は、トウモロコシの胚芽(芽となって成長する部分)から抽出したセラミドに糖が結合した脂質が合体したもので、「コーンスフィンゴ糖脂質」とも呼ばれます。

トウモロコシ由来のセラミドを配合した化粧品には、「Re・zero(リ・ゼロ)」の美容液(CE-P04)があります。

「セラミド含有米抽出物」は、お米から抽出したセラミドでグルコシルセラミド以外のものをさします。

「セラミド糖脂質含有米エキス」は、お米から抽出したセラミドに、糖脂質をプラスしたものをさします。

天然セラミドの種類3.ミルクセラミド

「ミルクセラミド」は、牛乳由来のセラミドのことで、数あるセラミドのなかでも最近注目を集めている種類です。

どのタイプのセラミドも、合成する際には前駆体(セラミドが作られる前の段階にあたる物質のこと)となる「スフィンゴミエリン」と呼ばれるリン脂質の一種が必要となりますが、牛乳にはこのスフィンゴミエリンが豊富に含まれているのです。

たとえば、生乳からバターへと加工する際、その過程で「バターミルク」と呼ばれる液体が抽出されますが、このバターミルクのなかにセラミドの前駆体となるスフィンゴミエリンが豊富に含まれているのです。

バターミルクからスフィンゴミエリンを抽出させるには、タンパク質などの余分な成分を取りのぞくことで可能となります。

ミルクセラミドのメリットはいくつかあります。

ミルクセラミドを使うことによって、角層内のセラミドの量を増え、キメの細かい肌を手に入れることが可能となります。

ミルクに含まれているスフィンゴミエリンは、人間の体内に存在しているタイプに近いセラミドを合成するときや、肌のターンオーバー(肌の生まれ変わりサイクル)によってセラミドが分解されたのちに再生されるときなど、重要な過程で必要となる成分です。

したがって、このスフィンゴミエリンを豊富に含むミルクセラミドを使うことで、角層内のセラミド量を増やすことができるため、健康な肌になるというわけです。

セラミド量が増えるということは、肌の保湿力が高まるということでもあります。

大手乳業メーカーの雪印メグミルクが、20代~40代の健康な男女25名を対象に「ミルクセラミドの保湿力に関する試験」を行ったところ、ミルクセラミドを摂取し続けたグループは、摂取しなかったグループよりも「皮膚内の水分量が増加した」という結果が出たと公表しています。

このことから、ミルクセラミドには、肌の保湿力アップ効果があるということになり、乾燥からくる肌トラブル(シワ・ニキビなど)を予防することができます。

ミルクセラミドにもデメリットがあります。

1日に摂取したいミルクセラミドは20㎎とされており、スキンケア化粧品以外に牛乳を飲むことでも摂り入れることが可能ですが、牛乳からミルクセラミドを20㎎摂取するためには、1日にだいたい1.2Lくらいは飲む必要があります。

牛乳が好きな人であればいいかもしれませんが、毎日1パック以上を飲むのは大変ですね。

それに、「牛乳アレルギーの人は、牛乳から摂取することはできない」という点においても、デメリットと言えるでしょう。

また、牛乳から摂取するとしても、牛乳は体内で消化吸収されるまでに時間がかかるため、効率よく効果を得ることができません。

ミルクセラミドを配合したスキンケア化粧品を使う場合、植物セラミドよりも割高なものが多いです。

ミルクセラミドを配合したスキンケア化粧品には、金澤コスメティクスの「生クレンジング」があります。

天然セラミドの種類4.天然ヒト型セラミド(ジェヌイン特許)

「ヒト型セラミド」は、天然タイプと合成タイプの2種類に大きく分けることができますが、このうち「天然ヒト型セラミド」は別名「バイオセラミド」とも呼ばれています。

天然と言っても人間の皮膚内から抽出するのではなく、天然酵母を原料として人工的に作り出されたセラミドをさします。

つまり、「天然の原料から作り出した、人間のセラミドとほとんど変わらない構造のセラミド」ということになります。

この天然ヒト型セラミドを世界で初めて発見し、人間が利用できるような有効成分化したのは、福岡県に本社を置く「株式会社ジェヌインR&B」という企業で、2018年5月28日に「天然ヒト型セラミド」で特許も取得しています。

天然ヒト型セラミドは、醸造中の醤油粕から「ヒト型のフリーセラミド(遊離型セラミド)」として偶然に発見され、その後の研究によって、醤油粕からこのセラミドだけを精製することに成功しました。

人工的に生成された天然ヒト型セラミド(ジェヌイン特許)は、実に「90%と高い純度」を誇っているほか、保水力や肌のバリア機能の回復効果は、「合成セラミドのおよそ3倍」・「植物セラミド(植物性グルコシルセラミド)の15倍」もの効果となっています

天然ヒト型セラミドは、使いつづけることで多くのメリットを得ることができます。
90%の高純度であるため、肌への浸透力・親和力が非常に高いです。

したがって、角層内のセラミド量を効率よく増やすことができ、低下してしまった肌のバリア機能を効果的に回復させることができます。

また、植物グルコシルセラミドの15倍もの保水力をもっていることから、肌の乾燥を防ぎ、キメの整った美肌に導くことができます。

天然セラミドは、原料によってさまざまな種類に分けることができますが、その数あるセラミドのなかで、バリア機能の回復効果がもっとも高いとされるのが、この「天然ヒト型セラミド」なのです。

非常に高いメリットをもった天然ヒト型セラミドですが、デメリットがないわけではありません。

それは、他の種類のセラミドよりも高価であるという点です。

原料が醤油粕ですが、これは醤油作り過程の最終段階で作られるもので、醤油の絞りカスにあたります。

その精製割合は「生醤油:醤油粕=10:1」で、全国でも年間約70,000トン程度です。

70,000トンもあれば、安心という気がしますね。

しかし、そのほとんどは飼料や肥料として利用されているため、天然ヒト型セラミドの精製に利用できる量は限られているのです。

また、精製するまでにも手間がかかるなどの点から、どうしても高額になってしまうのです。

化粧品に配合されている天然ヒト型セラミド(ジェヌイン特許)は、「セラミドAP(セラミド6Ⅱ)」・「セラミドNP(セラミド3)」に、20種類もの分子の種も含んでいます。

天然ヒト型セラミド(ジェヌイン特許)を配合したスキンケア化粧品には、「杜氏肌(TOJI-KI)オールインワンゲル」などがあります。

合成セラミド(疑似セラミド)の種類

「合成セラミド」は、天然セラミドの特徴や構造を真似て人工的に作られたもので、「疑似セラミド」と呼ばれており、成分表示名には「ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミド」・「セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド」などがあります。

おもな原料に「石油」を利用しており、大量生産が可能となっています。

そのため、リーズナブルなスキンケア化粧品に利用されることが多いです。

セラミドのなかには、原料が石油でなくても合成セラミドに分類されているものがあります。

たとえば、「ヒト型セラミド」がありますが、これは天然ヒト型セラミド(ジェヌイン特許)とは異なる方法で、人工的に生成されているものをさします。

合成セラミドのメリットは、やはり安価という点が挙げられます。

原料が石油なので調達しやすいほか、加工がしやすいため大量生産が可能となるため、価格も抑えることができるからです。

また、ドラッグストアなどで手軽に購入できるという点も、メリットの1つです。

ただし、手軽で安価である一方、肝心な肌の保湿効果やバリア機能回復効果が低いというデメリットがあります。

さらに、合成セラミドの効果をアップさせるため、さまざまな合成成分をプラスしている場合があります。

そのため、商品によっては肌質に刺激を与えてしまう可能性も否定できません。

合成セラミドの種類.ヒト型セラミド(合成セラミド)

前述にて「天然ヒト型セラミド」のことをご紹介してきましたが、天然ヒト型セラミドと分類されるのは、ジェヌイン特許にて精製されたものをさします。

そのほかの方法で精製されたヒト型セラミドは、一般的に合成セラミドに分類されます。

合成セラミドにはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や働きに違いがあります。

「合成」というと「肌に刺激が強い化学合成成分を使っている」というイメージがありますが、合成には「2つ以上の成分を合わせて1つの成分にする」という意味もあり、全ての合成セラミドが刺激になるわけではありません。

とくに、「ヒト型セラミド」は低刺激でありながら効果が高いです。

ヒト型セラミド全体のメリットとしては、どのタイプの皮膚に近い構造をしているので「親和性が高い」・「保湿力に優れている」ので、効率よくトラブル肌を改善することができます。

デメリットとしては、「分子が大きい(低分子)」・「水溶性ではない」という点が挙げられます。

とくに、安価なものは分子が大きいため、セラミドが皮膚の内部に浸透しにくく効果をじゅうぶんに得られない場合があります。

しかし、最近ではセラミドの分子をナノ化(高分子化)し、水に溶けやすい性質をもった「水溶性ナノセラミド」も登場しており、デメリットも改善されつつあります。

人間の皮膚内に存在しているセラミドは「11種類」あるといわれており、現在までに7タイプ解明されています。

その7タイプが「セラミド1・2・3・4・5・6Ⅱ・7」であり、私たちの皮膚に存在する本物のセラミドは、そのすべてを持ち合わせているのです。

このうち、美肌を作るために必要とされるタイプが、「セラミド1」・「セラミド2」・「セラミド3」・「セラミド6Ⅱ」・「セラミド7」の5タイプです。

合成ヒト型セラミドの種類 その1:セラミドEOP(セラミド1)

「セラミドEOP」は、セラミド1(旧名称)という化粧品成分表示名で記載されていたセラミドのことで、医薬部外品における表示名は「N-フィトスフィンゴシン」です。

セラミドEOPは、酵母から合成されたヒト型セラミドで、「角層内の細胞間結合力が強く水分保持力が高い」という特徴があります。

そのため、乾燥肌を効果的に改善して、うるおいのある肌の持続させることができます。

さらに、肌のバリア機能がアップするので、肌の老化防止も期待できます。

セラミドEOPは、肌のバリア機能にかかわる働きをすることから、不足すると「アトピー性皮膚炎」を発症したり、角質が硬くなる「角化症」、通称サメ肌と呼ばれる「魚鱗癬(ぎょりんせん)」を引き起こしやすくなるとされています。

合成ヒト型セラミドの種類 その2:セラミドNS・セラミドNG(セラミド2)

「セラミドNS」・「セラミドNG」は、セラミド2という旧名称でよばれていたタイプです。

医薬部外品の表示名で表すと、セラミドNGは「N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン」です。

表示名の改定により、セラミド2がNSタイプとNGタイプに分けられましたが、広く利用されているのは「セラミドNG」です。

NG・NSのどちらのタイプも、酵母から合成されたヒト型セラミドで、「人間の皮膚や髪の毛と同じ構造」をもっており、肌への浸透力・親和性に優れています。

また、「水分を保持する能力に長けており」、その保水力は合成セラミドのなかでトップクラスを誇っています。

肌の乾燥を防げることから、とくに肌荒れ改善・防止などを目的とした化粧品に配合されていることが多いです。

ヒト型セラミド7種類のなかで、NGタイプが皮膚内部にもっとも多く存在しており、その割合はセラミド全体の約21%とされています。

そのため、NGタイプが不足すると、肌トラブルなどのデメリットを引き起こす可能性が高くなります。

合成ヒト型セラミドの種類 その3:セラミドNP(セラミド3)

「セラミドNP」は、セラミド3という旧名称で呼ばれていたタイプで、医薬部外品では「N-ステアロイルフィトスフィンゴシン」、「N-オレオイルフィトスフィンゴシン」、「N-リノレオイルフィトスフィンゴシン」などと表されます。

このセラミドも、酵母を原料として合成されたヒト型セラミドであり、「人間の皮膚に限りなく近い構造」をしているのが特徴です。

とくに、水分保持能力に長けているため、肌のバリア機能の向上・改善目的に利用されるほか、外部刺激保護目的などでも広く利用されています。

このタイプのセラミドのうち「N-オレオイルフィトスフィンゴシン」は、N-ステアロイルフィトスフィンゴシンの特徴&効果に加え、肌のバリア機能改善効果が長時間続くという性質も備えており、NPタイプのなかでもこの構造のセラミドが配合されたスキンケア化粧品は、敏感肌や乾燥肌で悩む人にもオススメです。

また、N-リノレオイルフィトスフィンゴシンは、シミや色素沈着の原因となるメラニンの産生を抑える働きも持っており、美白効果が期待できます。

その効果は、高い美白効果を誇る「アルブチン(梨やコケモモに含まれる美白成分で、シミやそばかすに効果的)」に、勝るとも劣らないとされています。

したがって、このセラミドを配合した化粧品を使うことによって、保湿・バリア機能改善・美白の3つの効果を得ることができます。

セラミドNPは、年齢とともにその量が減少していくことが分かっており、不足するとアトピー性皮膚炎・角化症・魚鱗癬などを引き起こす原因となります。

NPタイプを配合した化粧品としては、FUJIFILMの「ASTALIFT(アスタリフト)のジェリーアクアリスタ」があります。

合成ヒト型セラミドの種類 その4:セラミドAP(セラミド6Ⅱ)

「セラミドAP」は、セラミド6Ⅱと呼ばれていたタイプで、医薬部外品では「N-2ヒドロキシステアロイルフィトスフィンゴシン」と表示されます。

セラミドAPには、古くなった角質を柔らかくして取り除く「ピーリング作用」があります。

この作用によって皮膚の新陳代謝がアップし、肌のターンオーバー(生まれ変わりサイクル)が正常に働くようになります。

また、古い角質が取り除かれるので、肌のキメが整いスベスベ肌を手に入れることもできます。

水分保持効果も高く、シワ改善にも効果が期待できます。

このタイプには、旧名称でいうセラミド6Ⅱのほかに、セラミド6Ⅰ(N-ヒドロキシステアロイルフィトスフィンゴシン)もありますが、特徴・働き・効果などはほとんど同じです。

ただ、化粧品などの素材として利用されたり、製品化されているタイプはセラミド6Ⅱです。

APタイプもNPタイプと同様に、年齢とともに皮膚内の存在量が減少してしまうことが分かっています。

そのため、継続的に摂取していきたいヒト型セラミドの1つでもあります。

APタイプを配合したスキンケア化粧品には、「ETVOS(エトヴォス)モイスチュアライジングセラム」があります。

合成ヒト型セラミドの種類 その5:セラミド7

セラミド7は、現在「セラミドAH」という表示となっています。

セラミドAHは、角層細胞の増殖をサポートして細胞分裂をコントロールする働きをもっています。

肌細胞が活発に分裂をくり返すことによって、皮膚にもともと存在している常在菌(善玉菌・悪玉菌など)のバランスを整えて、健康肌へと導くことが可能となります。

セラミド7を補給してあげることで、ニキビなどの雑菌による肌トラブルの改善・予防効果、が期待できます。

セラミドは配合されているスキンケア商品の種類で意味合いに違いが!

セラミドが入ったスキンケア化粧品は、粘性の高いゲルタイプやクリームタイプなどに配合されていることが多いですが、ウォーターベースの化粧水にも配合しているものもあります。

スキンケア商品は、種類ごとに役割が違うため、セラミドの肌への効果も変わってきます。

では、セラミドがさまざまな種類に配合されているのには、どのような理由があるのでしょうか?

ここからは、スキンケア化粧品の種類ごとに、セラミドの役割を見ていきましょう。

セラミド配合目的の違い その1.化粧水

化粧水には、洗顔によって奪われた水分補給するという役割があります。

洗顔後は、肌のバリア機能もくずれがちになり、そのままにしていると肌の水分がどんどんと奪われ、同時にセラミドも減少してしまうことになります。

ですが、洗顔後は皮膚のさまざまな汚れがキレイに洗い流された状態でもあり、もっとも肌に浸透しやすい状況でもあります。

この状態でセラミド入りの化粧水を使うことにより、角層へとすばやくセラミドを浸透させ、角層内のラメラ構造を整えることができます。

クリームやゲルと比べると、化粧水に含まれるセラミド量は少なくあまり意味がないなどといわれていますが、セラミドが入っている化粧水は多少の油分が含まれていますが、化粧水のベースは水なので水溶性です。

そこに配合されている脂溶性のセラミドは、少量の油分によって安定性は少し保たれている状態ですが、クリームやゲルと比較すると不安定なままです。

前述にて、セラミドの浸透率は不安定な状態のほうが、アップするという説明をしましたね。

つまり、化粧水にセラミドを配合することによって、角層にすばやくセラミドが届いて肌の水分蒸散をおさえる応急処置ができ、肌のバリア機能を回復させる効果が得られるわけです。

セラミド配合目的の違い その2.美容液

美容液の目的は、失われがちな栄養成分を補給してキメ・ハリ・弾力を整え、有効成分によって肌トラブルを改善させていくといきます。

そのため、美容液には肌にいいとされる有効成分や、美容成分がたくさん含まれています。

そのなかには、セラミドとの相性がいい「ビタミンC」・「ヒアルロン酸」・「コラーゲン」なども含まれており、そこにセラミドもプラスすることで、それぞれの成分との相乗効果を得ることができ、別々に補給するよりも肌への効果がアップするわけです。

美容液は、とろみがあるタイプやゲルタイプがほとんどですから、セラミドの浸透力も高いですね。

セラミド配合目的の違い その3.クリーム

クリームは、スキンケア化粧品のなかでもっとも硬めなテクスチャーで、ベースが油分となっています。

以前のクリームというと、油分が多くて付けた後もベタつきが気になったりしましたが、最近のものはサッパリと使えるタイプも多く登場しており、乳液との差がほとんどないような商品もあります。

そのため、クリームに含まれるセラミドは、油分の割合やセラミドの濃度などによって、肌への浸透力に差が出ることが考えられます。

油分の多めのクリームであれば、肌へ浸透させることが目的というよりは、肌の表面を油分でおおうことによって、水分を皮膚のなかに閉じ込めることが目的です。

クリームにおけるセラミドの安定性はバツグンなので、高濃度で配合することが可能であり、セラミドの配合濃度が高いほど肌内部への浸透率もアップします。

クリームは、化粧水や美容液でセラミドを角層内へと浸透させた状態で使うことがほとんどなので、皮膚の表面を保護することがメインで、セラミドの補給はプラスαと考えておくといいでしょう。

ただし、クリームのなかでも乳液などのようにやわらかいテクスチャーのものは、クリームと美容液を合わせた商品もあり、こうした商品はセラミドを角層まで浸透させる役割も果たしていると考えられます。

乾燥しがちな秋~冬の時期には、とくにクリームタイプは活躍してくれるでしょう。

セラミド配合目的の違い その4.乳液

乳液は、クリームよりも柔らかいテクスチャーで、油分も多めなのでセラミドの安定性も高いです。

その役割は、肌内部の水分蒸散を防いで保湿効果を高めることです。

そのため、クリームと同様に高濃度のセラミドを配合している商品も多いです。

ちなみに、日本で販売されているスキンケア商品のなかで、セラミドがもっとも高濃度で配合されている商品は「TOUT VERT(トゥヴェール) セラミドミルク」で、ヒト型セラミドが「4.5%」も含まれています。

安価なものになると、セラミド配合と書かれていても0.01%以下なんてものもあります。

それと比較しても高濃度であることが分かりますね。

セラミドを高濃度で配合している乳液は、ほかのセラミド配合乳液と比べると高価ではありますが、その分しっかりと効果を発揮しくれるので、悩んでいた肌トラブルも改善していくでしょう。

メーカー・ブランドによっては、しっとりタイプとサッパリタイプの2種類を販売しているところもあり、ベタつきが気になる脂性肌の人も使いやすくなっています。

セラミド配合目的の違い その5.オールインワン

オールインワン化粧品の大きな魅力は、1個で化粧水・美容液・クリーム・乳液・化粧下地など、5役すべての役目を担ってくれるという点にあります。

商品によっては、上記の5役に加えパック・UVカットなどの役目をもつものもあり、忙しくてメイク時間をしっかりとれない人にはオススメです。

オールインワン化粧品というとゲルタイプがほとんどであり、粘性も高いことからセラミドも比較的高濃度で配合させることが可能です。

セラミドが入ったオールインワン化粧品を使うことによって、化粧水の水分補給&バリア機能低下防止、美容液の栄養分補給&肌トラブル改善、クリーム・乳液の水分蒸散防止&保に、化粧下地効果やUVカット効果などが一度に得られます。

ですので、オールインワン化粧品を塗ったらすぐにベースメイクを始めることができ、朝忙しくてメイク時間を長くとれない人や、スキンケアをなるべく早く済ませたい人などにはオススメなのです。

ただし、オールインワン化粧品の場合、1個で5つや6つの役目をもたせるため、さまざまな成分が配合されており、たくさんの美容成分が入っているためにセラミドの効果があまり実感できない可能性があります。

また、オールインワン化粧品がどのような効果に着目して作られているかによって、セラミドが含まれる量も変わってきます。

セラミド配合のオールインワン化粧品を選ぶときには、成分表を見てどのあたりにセラミドが記載されているかをチェックしてみましょう。

先頭あたりに「セラミド○○」などと書かれて入れば、高濃度で配合されている確率が高いです。

セラミド配合目的の違い その6.セラミド原液

セラミド化粧品のなかには「原液」があるのをご存知でしょうか?

原液と言っても、セラミドだけでは肌に浸透していかないので、化粧水のようなエッセンスにヒト型セラミド数種類を配合させてあります。

原液と聞くと、とても濃度が高いので直接肌に付けたら刺激になるような気がしますね。

しかし、スキンケア化粧品でいう原液とは、少量でも高い効果が得られる「リペアエッセンス(美容液)」として販売しているものもあり、直接肌に塗っても刺激になることはありません。

また、セラミドはもともと私たちの肌がもっている成分であり、原液に配合されているセラミドは、構造がおなじヒト型セラミドですので安心して使うことができます。

原液の使い方はメーカーによって異なる場合もありますが、「TOUT VERTの天然ヒト型セラミド原液」は、化粧水に3%(乾燥肌の人)~5%(普通肌の人)程度配合して使うほか、原液のままでも使うこと可能です。

その際には、たった1滴を顔全体に伸ばすだけでOKです。

たった1滴だと効果が出ないのでは?と思ってしまいますが、セラミドはもともと角層細胞の間で接着剤のような働きをしている成分であり、結晶力が高いという性質をもっています。

そのため、原液のように高配合した化粧品は、ギシギシとした使いごこちになってしまい、滑らかに仕上がらないのです。

各ブランドのリペアエッセンスを見てみると、どれも小さなボトルで少量が販売されていますね。

これは、たった数滴(数%)でも肌の保護・保湿効果が高いため、少しの使用量でOKだからです。

セラミド配合目的の違い その7.飲むタイプのセラミド

セラミドはスキンケアタイプだけではなく、口から摂り入れる「飲むタイプ」もあります。

多くの食品に含まれているほか、天然ヒト型セラミドやヒト型セラミドの原料も食品ですから、飲むタイプのセラミドがあってもおかしくはないですね。

日本で最初に「機能性表示食品」として認可された飲むセラミドは、大手製薬会社であるエーザイ株式会社が開発した「チョコラBB リッチセラミド」であり、2016年10月17日から全国各地で販売されるようになりました。

この「チョコラBB リッチセラミド」は、米由来のグルコシルセラミドを主成分としたセラミド入りドリンクで、肌の内側からセラミドを補給させることができます。

グルコシルセラミドは、ヒト型セラミドの基本構造にグルコースという糖がくっついた構造をしており、ヒト型セラミドに近い性質をもっています。

セラミドが存在するのは、肌の表面に近い角層内であることから浸透力の高いスキンケア化粧品肌ならば、効果的にセラミドを角層へ届けることが可能です。

そのため、多くのセラミド入り商品は、化粧品の有効成分として利用されているのです。

「じゃあ、ドリンクに入れる意味がないじゃん!」と思ってしまいますが、飲むタイプのセラミドにもメリットはあります。

ドリンクとしてセラミド(この場合はグルコシルセラミド)を摂取すると、体内で加水分解されてグルコース(糖)が取り除かれ、ヒト型セラミドとなって小腸から吸収されていきます。

そのため、飲み続けていることによって、徐々に角層へのセラミドが送られるようになり、効果を実感できると期待されています。

リッチセラミドには、グルコシルセラミドが1,800µg(1.8㎎)と比較的多く配合されています。

また、セラミドと相性のいい保湿成分(ヒアルロン酸・コラーゲン)なども一緒にドリンクに配合させることで、相乗効果が得られます。

ヒアルロン酸やコラーゲンはセラミドよりも分子が大きく、高分子化(分子を小さくすること)しなければ、肌から浸透させるのは難しいです。

しかし、ドリンクタイプならば、ヒアルロン酸やコラーゲンを小腸から吸収させることができるため、真皮層へと届けやすくなります。

ドリンクならば、さまざまな美容成分を配合させやすいというメリットがあり、外側だけでなく内側からも美肌効果を高められます。

つまり、飲むセラミドは、スキンケア化粧品による外側からのセラミド効果を、アップさせるためのサポート役と考えておくといいでしょう。

セラミドのサプリメントと粉末の違いって?

飲むセラミドのなかには、ドリンクタイプ以外にサプリメントや粉末(パウダータイプ)などもあります。

では、サプリメントと粉末との違いは、いったいどこにあるのでしょうか?

サプリメント(錠剤・カプセルなど)には、カプセルや粉末を固める凝固剤などの成分も含まれているため、体内に摂り込んでから分解・吸収されるまでに時間がかかるほか、余分な成分のために、セラミドの効果がじゅうぶんに得られない可能性も否定できません。

また、サプリメントによっては、1回に何粒も飲まなければならないものもあり、喉の詰まりといった不快感が生じることも考えられます。

しかし、ドリンクタイプよりもリーズナブルであり、水と一緒に飲むため味が気にならないので続けやすいです。

粉末タイプは、サプリメントのようにカプセルに包まれていたり、凝固剤で固められてはいないため、成分そのままを直接摂り込むことができます。

体内に摂り込んだセラミドは、余計な成分に邪魔されることなく小腸から吸収されていくので、サプリメントよりも比較的はやく効果が実感できる可能性が高いです。

ただ、パウダー状なので味が気になって飲めなくなったり、慌てて飲んだことでむせてしまうことも考えられます。

まとめ:自分にあったセラミドの種類を選ぼう!

セラミドには様々な種類があって、配合されている化粧品ごとにセラミドの役割も変わってくることをお伝えしました。

大切なのは、自分の肌の状態に合わせてセラミドの種類を適切に選ぶことです。

「とにかくセラミドが配合されていればOK」ということではないので、セラミドのそれぞれの特徴をよく理解したうえで商品を選んでみてくださいね。

あなたの化粧品選びにこの記事が少しでもお役に立てたなら幸いです。